総合内科医のよもやま話

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論文読解:NEJM -Crazy-Paving Pattern in Pulmonary Sarcoidosis-

いくつかの論文には、Image Caseなどの画像をもとにA4 1枚で作成されている短い症例報告があります。

NEJMなどの世界的に格式の高い雑誌でもそれらのタイプの論文は存在し、比較的に簡単読めますが勉強になる知識が得られるためたまに目を通しています。

 

今回は、NEJMから2024年2月29日のImage Caseを一本。

論文はこちら👉

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm2308650

【タイトル】

Crazy-Paving Pattern in Pulmonary Sarcoidosis

【症例/病名】

28歳女性、肺サルコイドーシス

【画像】

【内容】

・Crasy pavingパターンを呈した肺サルコイドーシス
非喫煙者の28歳女性、6ヶ月続く空咳で受診
・採血検査でACE-I 80IU/L
・TBLBでは非乾酪性肉芽腫
・鑑別は肺胞タンパク症、ARDS、PCP、サルコイドーシスになる。
・PSLで加療開始して、漸減をしていき6ヶ月間でステロイドは中止となった
・1年後になっても再発の兆候は現れていない

 

【感想】

医師国家試験的にはCrasy pavingパターンといえば肺胞蛋白症になる。

しかし、実臨床はそんな単純なものではないなと日々感じています。

 

この画像を見た際に感じたことは小葉間隔壁の肥厚が随分と目立つな、という印象で、よく目にするのは、心不全での画像ですが、胸水もなく違和感のある画像というのが正直な印象でした。一方で、air trappingのような明るい肺野がモザイク状に認められており、気道/気流を阻害する何かがあるようにも見えました。

小葉間隔壁肥厚自体は、肺内リンパ管のうっ滞や肺静脈路のうっ滞を示唆する所見になるため、リンパ路が障害されれば十分あり得る画像という印象です。

そういう意味では、リンパ路にも病態が生じるリンパ腫で似たような画像を呈する報告を目にしたことはあります。病理も含めると結果は比較的単純ではありますが、肺野の画像読影は難しいなと改めて感じさせられました。